食事による健康法を人に伝えて、もう20年になります。

最初は、症状ごとに食べるといい食材を紹介することや、薬膳理論を知りたい人に伝えることが中心でした。そこからだんだんと、症状を消すための食べ方から、症状を起こさない食べ方へとシフトしていけているかな、どうかなと思っています。

薬膳という武器を使いこなすステップ

薬膳的な食材の力を知って、その上で食べるという、「知って行動する」パターンは、効果の実感をしやすく、とてもおすすめです。どこにどういう効果が出るのかわかっているから、変化に気づきやすいのです。知らずに食べている時は、たとえ変化が起きていてもそこに意識がいっていなかったりして、気づかずに終わることが多いですよね。例えば、そうめんの薬味などは、まさにそうではないでしょうか。

ひとまず、薬膳という武器を手に入れて、それを使いこなそうとしているあなたへ伝えたいことがあります。いつまでも知識ベースで食べていてはいけません。あくまでも、自分の体で食材の力を感じられるところを目指したい。この目標を忘れないようにしましょう。

薬膳という知識で自分を縛り、決められた通りに食べてみる期間を作るのは、体がもともと持っているはずの「今食べるべき食材に気付けるセンサー」を復活させるためです。そして、そのセンサーは味覚と連動しているのですよ。

満足感と健康的な食事の真実

だからこそ、本当に今食べるべき食材を食べた時は、味覚的にもお腹的にも、満足感が得られます。

不味くて食べられないものを我慢して食べるのが健康的な食事ではありません。また、我慢して腹八分にするのも違います。今のあなたの体に良いものを食べると、おいしく感じられ、腹八分で満足できるのです。

健康になりたいけれど、一生我慢し続けるのは嫌だ。そりゃそうです。私もそう思います。

孔子の教えに学ぶ「健康な食べ方のステップ」

しかし、ここで孔子の言葉を思い出してみましょう。

孔子は、「50にして天命を知り、60にしてその通りに生きられるようになり、70にしてこころの欲するままにしていても、理から外れることはなくなる」

論語 為政篇第二の四

と述べています。

年齢や天命、理といったハードルは一旦無視して、これを食べ方に当てはめてみると、次のように読み取れます。

1. 体のためにいい食事を知る。

2. その通りに食べられるようになる。

3. そうしたら、「食べたい!」という心に従って食べていても、よくない食べ方をせずに済む

陰陽論の世界はフラクタルであり、ミクロとマクロは一緒です。いろんなところに「一時が万事」が当てはまるように、孔子の人生訓という大きな話が、食べ方という各論にもそのまま応用できるのです。

まだまだあと何十年か生きる私たちです。今日からこの状態を目指していきませんか?そしたら、何年か後から死ぬまで、好きなものを食べたいだけ食べて生きていけますよね!